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【電験三種:理論】令和4年度下期 問16

電験三種令和4年度下期理論問16 令和4年度下期

概要

直流電流計を並列接続したときに測定できる電流範囲の計算問題です。
問題の中身は、抵抗を並列接続したときの電流を分流則から導くという内容です。

電流の範囲を気にする必要はあるものの、中身は基礎レベルの直流回路の解析なので確実に回答したい問題です。

キーワード
直流回路、分流則

 

問題

最大目盛 50 A、内部抵抗0.8×10^{-3}Ω の直流電流計 A_1
最大目盛 100 A、内部抵抗0.32×10^{-3}Ω の直流電流計 A_2
二つの直流電流計がある。

次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、二つの直流電流計は直読式指示電気計器であるとし、固有誤差はないものとする。

(a) 二つの直流電流計を並列に接続して使用したとき、測定できる電流の最大の値[A]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 40    (2) 50    (3) 100    (4) 132    (5) 140

 


(b) 小問(a)での接続を基にして、直流電流150 A の電流を測定するために、二つの直流電流計の指示を最大目盛にして測定したい。

そのためには、直流電流計 A_2 に抵抗R[Ω]を直列に接続することで、各直流電流計の指示を最大目盛にして測定することができる。
抵抗R の値[Ω]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 3.2×10^{-5}    (2) 5.6×10^{-5}    (3) 8×10^{-5}
(4) 11.2×10^{-5}    (5) 13.6×10^{-5}

 

答え

(a)(5)
(b)(3)

解説テキスト リンク

 

回答解説

(a)の解答の流れ
①電流計A_1に流れる電流I_1が上限の時の回路全体の電流Iを求める
②電流計A_2に流れる電流I_2が上限の時の回路全体の電流Iを求める

①電流計A_1に流れる電流I_1が上限の時の回路全体の電流Iを求める

電流計A_1に流れる電流I_1は、回路全体に流れる電流をIとしたとき、分流の法則から次のように表されます。

\displaystyle I_1=\frac{R_2}{R_1+R_2}I=\frac{0.32}{0.8+0.32}I=\frac{0.32}{1.12}I

I_1の最大目盛は50Aなので、I_1=50を代入すると

\displaystyle I=\frac{1.12}{0.32}・50=175A

電流計I_1が最大目盛を指し示すとき、回路全体にはI=175A流れていることがわかりました。

このとき、電流計A_2に流れる電流I_2は、
\displaystyle I_2=\frac{R_1}{R_1+R_2}I=\frac{0.8}{0.8+0.32}・175=\frac{0.8}{1.12}・175=125A

最大目盛100Aを超える電流が流れてしまうため、I=175Aは不適切です。

 


②電流計A_2に流れる電流I_2が上限の時の回路全体の電流Iを求める

電流計A_2に流れる電流I_2は、回路全体に流れる電流をIとしたとき、分流の法則から次のように表されます。

\displaystyle I_2=\frac{R_1}{R_1+R_2}I=\frac{0.8}{0.8+0.32}I=\frac{0.8}{1.12}I

I_2の最大目盛は100Aなので、I_2=100を代入すると

\displaystyle I=\frac{1.12}{0.8}・100=140A

電流計I_2が最大目盛を指し示すとき、回路全体にはI=140A流れていることがわかりました。

このとき、電流計A_1に流れる電流I_1は、
\displaystyle I_1=\frac{R_2}{R_1+R_2}I=\frac{0.32}{0.8+0.32}・140=\frac{0.32}{1.12}・140=40A

最大目盛50A以内の電流であるため、I=140Aは適切です。

以上より、(a)問題の答えは(5)140 が答えです。

 

(b)の解答の流れ
①分流の法則から抵抗Rを求める

①分流の法則から抵抗Rを求める

問題文から、回路に流したい電流はI=150Aです。

このとき、I_2=100Aになるように抵抗R[Ω]を直列接続するので、A_2の合成抵抗はR_2+R[Ω]となります。

以上の条件から、分流の法則の式を立てると、
\displaystyle I_2=\frac{R_1}{R_1+(R_2+R)}I

⇔ \displaystyle 100=\frac{0.8}{0.8+(0.32+R)}・150=\frac{120}{1.12+R}

⇔ \displaystyle 1.12+R=1.20

⇔ \displaystyle R=0.08[mΩ]=8×10^{-5}[Ω]

以上より、(b)問題の答えは(3)8×10^{-5}[Ω] です。

 

出典元

一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論科目B問題問16

参考書

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