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【電験三種:理論】令和4年度下期 問14

電験三種令和4年度下期理論問14 令和4年度下期

概要

アナログーデジタル変換(ADC)の論説問題です。
基礎知識レベルの問題なので、難しくはありませんが、一度学んでおく必要がある内容です。

音、光、温湿度、圧力等々、身の回りの情報は全てアナログな情報です。
PC等の電子機器で数値として取り扱うためには、AD変換をしてデジタル信号にしてからでないと取り扱えません。

AD変換は、計測機器や、電子機器に関する基礎なので、学ぶ価値のある単元です。

キーワード
AD変換、標本化、量子化、符号化

 

問題

データ変換に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) アナログ量を忠実に再現するために必要な標本化の周期の上限は、再現したいアナログ量の最高周波数により決まる。
(2) 量子化において、一般には数値に誤差が生じる。
(3) 符号化では、量子化された数値が2 進符号などのディジタル信号に変換される。
(4) ディジタル量は、伝送路の環境変化や伝送路で混入する雑音に強い。
(5) ディジタルオシロスコープで変化する電圧の波形を表示するには、その電圧をアナログ-ディジタル変換してからコンピュータでFFT 演算を行い、その結果を出力する。

 

答え

(5)

解説テキスト リンク

 

回答解説

(1) アナログ量を忠実に再現するために必要な標本化の周期の上限は、再現したいアナログ量の最高周波数により決まる。

標本化の周波数(サンプリング周波数)\(f_s[Hz]\)としたとき、その半分の周波数をナイキスト周波数\(f_n[Hz]\)と呼びます。
\(f_n=\frac{1}{2}f_s\)

変換したいアナログ信号の周波数の最高周波数\(f_{sig}[Hz]\)は、ナイキスト周波数を超えると折り返し雑音(エイリアシング)と呼ばれる雑音に変換されてしまうため、正常にAD変換できません。

したがって、\(f_{sig}<f_n\)である必要があります。

次に、問題文中の標本化の周期\(T_s\)は、\(T_s=\frac{1}{f_s}\)です。
そのため、標本化の周期\(T_s\)が大きくなるとサンプリング周波数\(f_s\)は反比例して低下します。

標本化の周期\(T_s\)の上限は、\(\frac{1}{2}f_s=f_n\)になるときなので、(1)は正しいです。

 


(2) 量子化において、一般には数値に誤差が生じる。

量子化は、連続的な値であるアナログ信号を、断続的な値であるデジタル信号に変換する工程です。断続的な値に変換するときに、実際のアナログ値との誤差を丸めてデジタル値にします。
この丸め誤差を量子化誤差と呼び、AD変換の精度を大きく左右します。

したがって、(2)は正しいです。

 


(3) 符号化では、量子化された数値が2 進符号などのディジタル信号に変換される。

符号化は、量子化された値を2進数表現に変換する工程です。

したがって、(3)は正しいです。

 


(4) ディジタル量は、伝送路の環境変化や伝送路で混入する雑音に強い。

デジタル量は、0と1の2進数で表現されます。
例えば、9であれば1001と表現されます。
伝送路では、この2進数が送受信されるため、雑音が混入しても数値がずれることはありません。

また、デジタル量が伝送路で通信される場合、パリティビット等の誤差検知用の仕組みと一緒に送受信されるため、仮に値がずれても訂正することが可能です。

これらの事から混入する雑音に強いので、(4)は正しいです。

 


(5) ディジタルオシロスコープで変化する電圧の波形を表示するには、その電圧をアナログ-ディジタル変換してからコンピュータでFFT 演算を行い、その結果を出力する。

デジタルオシロスコープで、電圧の波形を表示する場合、アナログーデジタル変換をした後、そのまま結果を出力するだけで表示できます。

したがって、(5)は誤りです。

なお、コンピュータでFFT(高速フーリエ変換:Fast Fourier Transform)をすると、電圧信号は周波数成分に分解されます。このことにより、フーリエ変換された電圧信号内に、どの周波数の信号が含まれているかをスペクトルとして表すことが出来ます。

 

出典元

一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問14

参考書

イラストがとても多く、視覚的に理解しやすいので、初学者に、お勧めなテキストです。

問題のページよりも、解説のページ数が圧倒的に多い、初学者に向けの問題集です。
問題集は、解説の質がその価値を決めます。解説には分かりやすいイラストが多く、始めて電気に触れる人でも取り組みやすいことでしょう。

本ブログの管理人は、電験3種過去問マスタを使って電験3種を取りました。
この問題集の解説は、要点が端的にまとまっていて分かりやすいのでお勧めです。
ある程度学んで基礎がある人に向いています。

 

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