概要
ダイオードの接続に関する論説問題です。
ダイオードは様々な種類があるだけでなく、使用方法も異なります。
動作原理も含めて、各ダイオードに関して知っていれば容易に回答できますが、ダイオードを種別に学ぶことはあまりしないと思われるため難しめな問題だと思われます。
キーワード
可変容量ダイオード、定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)、レーザーダイオード
問題
a.可変容量ダイオードは、通信機器の同調回路などに用いられる。
このダイオードは、pn 接合に \(\fbox{(ア)}\) 電圧を加えて使用するものである。
b.pn 接合に \(\fbox{(イ)}\) 電圧を加え、その値を大きくしていくと、降伏現象が起きる。
この降伏電圧付近では、流れる電流が変化しても接合両端の電圧はほぼ一定に保たれる。
定電圧ダイオードは、この性質を利用して所定の定電圧を得るようにつくられた
ダイオードである。
c.レーザダイオードは光通信や光情報機器の光源として利用され、
pn 接合に \(\fbox{(ウ)}\) 電圧を加えて使用するものである。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア) | (イ) | (ウ) | |
---|---|---|---|
(1) | 逆方向 | 順方向 | 逆方向 |
(2) | 順方向 | 逆方向 | 順方向 |
(3) | 逆方向 | 逆方向 | 逆方向 |
(4) | 順方向 | 順方向 | 逆方向 |
(5) | 逆方向 | 逆方向 | 順方向 |
答え
(5)
解説テキスト リンク
回答解説
a.可変容量ダイオードは、通信機器の同調回路などに用いられる。
このダイオードは、pn 接合に \(\fbox{(ア)}\) 電圧を加えて使用するものである。
可変容量ダイオードは、逆方向接続して使用します。
加えられた逆方向電圧の大きさによって、PN接合に発生する空乏層が変化することに伴って、静電容量が変化することを応用し、電圧制御が可能なコンデンサのように使用します。
したがって、\(\fbox{(ア)}\)=逆方向 です。
b.pn 接合に \(\fbox{(イ)}\) 電圧を加え、その値を大きくしていくと、降伏現象が起きる。
この降伏電圧付近では、流れる電流が変化しても接合両端の電圧はほぼ一定に保たれる。
定電圧ダイオードは、この性質を利用して所定の定電圧を得るようにつくられた
ダイオードである。

定電圧ダイオードは、ツェナーダイオードとも呼びます。
他のダイオードと異なり、逆方向電圧\(V_R\)を使います。
逆方向電圧\(V_R\)がツェナー電圧\(V_Z\)を超えると、急激にツェナー電流と呼ばれる逆方向電流が流れるようになります。
この現象を、ツェナー降伏と呼びます。
したがって、\(\fbox{(イ)}\)=逆方向 です。
c.レーザダイオードは光通信や光情報機器の光源として利用され、
pn 接合に \(\fbox{(ウ)}\) 電圧を加えて使用するものである。

レーザーダイオードに順方向接続(P型:プラス、N型:マイナス)すると、P型から活性層に向かって正孔が流れ、N型から活性層に向かって電子が流れ込みます。
流れ込んだ正孔と電子は、活性層で再結合し、光を放出します。
放出した光を切っ掛けに、更に再結合が起きて光を放出します。
これを誘導放出と呼び、同波長、同位相の光が合わさって強力な光を放出できます。
したがって、\(\fbox{(ウ)}\)=順方向 です。
まとめ
\(\fbox{(ア)}\)=逆方向、\(\fbox{(イ)}\)=逆方向、\(\fbox{(ウ)}\)=順方向より、
(5)が答えです。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問11
参考書
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