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【電験三種:理論】令和3年度 問9

電験三種令和3年度理論問9 交流回路

概要

RLC直列・並列回路の問題です。
コイルLとコンデンサCが共振中の各素子の電圧・電流についての理解が問われる論説問題ですが、わからない場合でも計算することで回答を導き出せます。

キーワード
交流回路、オームの法則、RLC直列回路、RLC並列回路、共振、共振条件

 

問題

実効値V[V]、角周波数ω[rad/s]の交流電圧源、R[Ω]の抵抗R、インダクタンスL[H]のコイルL、静電容量C[F]のコンデンサCからなる共振回路に関する記述として、正しいものと誤りのものの組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(a)RLC直列回路の共振状態において、LとCの端子間電圧の大きさはともに0である。
(b)RLC並列回路の共振状態において、LとCに電流は流れない。
(c)RLC直列回路の共振状態において交流電圧源を流れる電流は、RLC並列回路の共振状態において交流電圧源を流れる電流と等しい。

(a)(b)(c)
(1)誤り誤り正しい
(2)誤り正しい誤り
(3)正しい誤り誤り
(4)誤り誤り誤り
(5)正しい正しい正しい

 

 

 

答え

(1)

解説テキスト リンク

関連箇所直リンク
RLC直列回路
RLC並列回路

 

回答解説

解答の流れ
(a) RLC直列回路の計算
 (1) 共振状態の電流を計算する
 (2) Lの端子間電圧V_Lを計算する
 (3) Cの端子間電圧V_Cを計算する
 (4) まとめ ⇒ (a)の解答

(b) RLC並列回路の計算
 (5) 共振状態の電流を計算する
 (6) Lに流れる電流I_Lを計算する
 (7) Cに流れる電流I_Cを計算する
 (8) まとめ ⇒ (b)の解答

(c) (1)・(5)を比較する ⇒ (c)の解答

 

(a) RLC直列回路の計算
(1) 共振状態の電流を計算する

RLC直列回路のインピーダンス\dot{Z}は、
\dot{Z}=R+jωL+\frac{1}{jωC}
\dot{Z}=R+j(ωL-\frac{1}{ωC}) …①

共振状態という条件は、式中の虚数項(jの項)が0になることを表すので、①式中の共振条件は、次式となります。
ωL-\frac{1}{ωC}=0 …②

②式を①式に代入すると、
\dot{Z}=R …③

オームの法則から電流を求めると、
\displaystyle i=\frac{v}{\dot{Z}}=\frac{v}{R}

 


(2) Lの端子間電圧V_Lを計算する

Lの端子間電圧V_Lは、コイルのリアクタンスがjωLなので、
\displaystyle V_L=jωLi=jωL\frac{v}{R}


(3) Cの端子間電圧V_Cを計算する

Cの端子間電圧V_Cは、コンデンサのリアクタンスが\frac{1}{jωC}=-j\frac{1}{ωC}なので、
\displaystyle V_C=-j\frac{i}{ωC}=-j\frac{v}{ωCR}


(4) まとめ ⇒ (a)の解答

Lの端子間電圧V_Lは、\displaystyle V_L=jωL\frac{v}{R}

Cの端子間電圧V_Cは、\displaystyle V_C=-j\frac{v}{ωCR}

であることから、LとCの端子間電圧の大きさはともに0ではありません。 ⇒ (a)は誤り

  

(b) RLC並列回路の計算
(5) 共振状態の電流を計算する

RLC並列回路のインピーダンス\dot{Z}は、
\displaystyle \frac{1}{\dot{Z}}=\frac{1}{R}+\frac{1}{jωL}+\frac{1}{\frac{1}{jωC}}

\displaystyle \frac{1}{\dot{Z}}=\frac{1}{R}-j\frac{1}{ωL}+jωC

\displaystyle \frac{1}{\dot{Z}}=\frac{1}{R}+j(ωC-\frac{1}{ωL}) …①

共振状態という条件は、式中の虚数項(jの項)が0になることを表すので、①式中の共振条件は、次式となります。
\displaystyle ωC-\frac{1}{ωL}=0 …②

②式を①式に代入すると、
\displaystyle \frac{1}{\dot{Z}}=\frac{1}{R}

⇔ \dot{Z}=R …③

オームの法則から電流を求めると、
\displaystyle i=\frac{v}{\dot{Z}}=\frac{v}{R}

 


(6) Lに流れる電流I_Lを計算する

Lの端子間電圧V_Lは、電源電圧vなので、Lに流れる電流I_Lは、
\displaystyle I_L=\frac{V_L}{jωL}=-j\frac{V_L}{ωL}


(7) Cに流れる電流I_Cを計算する

Cの端子間電圧V_Cは、電源電圧vなので、Cに流れる電流I_Cは、
\displaystyle I_C=\frac{V_C}{\frac{1}{jωC}}=jωCv


(8) まとめ ⇒ (b)の解答

Lに流れる電流I_Lは、\displaystyle I_L=-j\frac{V_L}{ωL}

Cに流れる電流I_Cは、I_C=jωCv

であることから、LとCに電流は流れます。 ⇒ (b)は誤り

(c) (1)・(5)を比較する ⇒ (c)の解答

共振状態の電流は、(1)も(5)も、共に
\displaystyle i=\frac{v}{\dot{Z}}=\frac{v}{R}
したがって、RLC直列回路の共振状態において交流電圧源を流れる電流は、RLC並列回路の共振状態において交流電圧源を流れる電流と等しい。 ⇒ (c)は正しい

 

 

出典元

一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和3年度 第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問9

参考書

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問題集は、解説の質がその価値を決めます。解説には分かりやすいイラストが多く、始めて電気に触れる人でも取り組みやすいことでしょう。

本ブログの管理人は、電験3種過去問マスタを使って電験3種を取りました。
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ある程度学んで基礎がある人に向いています。

 

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