【電験三種:理論】令和3年度 問6

電験三種令和3年度理論問6 令和3年度

概要

最大出力電圧、最大出力電流が定められた直流安定化電源に、接続する抵抗値を切り替えた時の電源出力の振舞いに関する計算問題です。

問題文の意味を読み取って理解するまでに少し時間がかかるかもしれませんが、内容は非常に簡単なため、確実に解答したい問題です。

キーワード
オームの法則、直流安定化電源

 

問題

直流の出力電流又は出力電圧が常に一定の値になるように制御された電源を直流安定化電源と呼ぶ。

直流安定化電源の出力電流や出力電圧にはそれぞれ上限値があり、一定電流(定電流モード)又は一定電圧(定電圧モード)で制御されている際に負荷の変化によってどちらかの上限値を超えると、定電流モードと定電圧モードとの間で切り替わる。

図のように、直流安定化電源(上限値:100A、20V)、三つの抵抗(\(R_1=R_2=0.1Ω\)、\(R_3=0.8Ω\))、二つのスイッチ(\(SW_1\)、\(SW_2\))で構成されている回路がある。

両スイッチを閉じ、回路を流れる電流\(I=100A\)の定電流モードを維持している状態において、時刻\(t=t_1[s]\)で\(SW_1\)を開き、時刻\(t=t_2[s]\)で\(SW_2\)を開くとき、\(I[A]\)の波形として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 

答え

(2)

解説テキスト リンク

関連箇所直リンク
オームの法則

関連箇所直リンク
直列接続

 

回答解説

重要ポイント
電源の定電流モード、定電圧モードでの動作がどういうことかを読み取ることが、この問題で最も重要な事です。
最大出力電圧\(V=20V\)で電源が出力しているときは、定電圧モード。
最大出力電流\(I=100A\)で電源が出力しているときは、定電流モードです。

・定電流モード
接続した抵抗が小さい時、小さな電圧でも最大出力電流の\(I=100A\)を超えてしまうため、\(I=100A\)の定電流モードで動きます。

・定電圧モード
接続した抵抗の大きい時、最大出力電圧の\(V=20V\)でも、電流\(I\)は\(100A\)に届かないため、\(V=20V\)出力の定電圧モードで動きます。

解答の流れ
① \(t=0~t_1\)の期間の電流\(I[A]\)、電圧\(V[V]\)を求める
② \(t=t_1~t_2\)の期間の電流\(I[A]\)、電圧\(V[V]\)を求める
③ \(t=t_2~\)の期間の電流\(I[A]\)、電圧\(V[V]\)を求める
④ まとめ

 

①\(t=0~t_1\)の期間の電流\(I[A]\)、電圧\(V[V]\)を求める

\(SW_1\):閉、\(SW_2\):閉
接続する抵抗は\(R=R_1=0.1Ω\)です。

直流安定化電源の出力電圧\(V=10V\)のとき、
出力電流は\(\displaystyle I=\frac{V}{R}=\frac{10}{0.1}=100A\)

となるため、\(I=100A\)の定電流モードで動きます。


②\(t=t_1~t_2\)の期間の電流\(I[A]\)、電圧\(V[V]\)を求める

\(SW_1\):開、\(SW_2\):閉
接続する抵抗は\(R=R_1+R_2=0.2Ω\)です。

直流安定化電源の出力電圧\(V=20V\)のとき、
出力電流は\(\displaystyle I=\frac{V}{R}=\frac{20}{0.2}=100A\)

となるため、\(V=20V\)の定電圧モードかつ、\(I=100A\)の定電流モードで動きます。


③\(t=t_2~\)の期間の電流\(I[A]\)、電圧\(V[V]\)を求める

\(SW_1\):開、\(SW_2\):開
接続する抵抗は\(R=R_1+R_2+R_3=1.0Ω\)です。

直流安定化電源の出力電圧\(V=20V\)のとき、
出力電流は\(\displaystyle I=\frac{V}{R}=\frac{20}{1.0}=20A\)

となるため、\(V=20V\)の定電圧モードで動き、出力電流は\(I=20A\)です。


④ まとめ

\(t=0~t_2\)の期間は\(I=100A\)
\(t=t_2~\)の期間は\(I=20A\)となりますので、
(2)のグラフが正しいです。

 

 

 

出典元

一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和3年度 第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問6

参考書

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