Processing math: 0%

【電験三種:理論】令和3年度 問15

電験三種令和3年度理論問15 三相交流回路

概要

三相交流回路の問題です。
(a)問題は、ベクトルの合成を考える必要があるため難しいです。
(b)問題は、負荷がY結線であるため比較的簡単に回答できます。ただし、線電圧、相電圧、線電流、相電流に関する基本的な知識を身に着けている必要があります。

キーワード
三相交流回路、ベクトル合成、Y結線

 

問題

図のように、線間電圧400Vの対称三相交流電源に抵抗R[Ω]と誘導性リアクタンスX[Ω]からなる平衡三相負荷が接続されている。
平衡三相負荷の全消費電力は6kWであり、これに線電流 I=10A が流れている。
電源と負荷との間には、変流比 20:5 の変流器がa相及びc相に挿入され、これらの二次側が交流電流計を通して並列に接続されている。
この回路について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a)交流電流計の指示値[A]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)0   (2)2.50   (3)4.33   (4)5.00   (5)40.0


(b)誘導性リアクタンスXの値[Ω]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)11.5   (2)20.0   (3)23.1   (4)34.6   (5)60.0

 

答え

(a)(2)
(b)(1)

解説テキスト リンク

 

回答解説

(a)の解答の流れ
①交流電流計に流れる電流の相を確認する
\dot{I_a}\dot{I_c}を求める
\dot{I_a}+\dot{I_c}を求める

①交流電流計に流れる電流の相を確認する

問題文の条件は、変流器がa相及びc相に挿入され、これらの二次側が交流電流計を通して並列に接続されているです。

変流器は、電流源として考えることができます。重ねの理では、電流源は開放として扱うので、
a相の変流器の電流\dot{I_a}は全て交流電流計に流れ、c相の変流器の電流\dot{I_c}も同様に全て交流電流計に流れます。

したがって、交流電流計には\dot{I_a}+\dot{I_c}が流れます。

 


\dot{I_a}\dot{I_c}を求める

変流器の一次側に流れる電流は I=10A です。
変流比が 20:5 であることから、a相の変流器の二次側に流れる電流I_aを求めると、
I:I_a=20:5
I_a=\frac{5}{20}I=\frac{5}{20}10=2.5A
です。

平衡三相交流であることから、\dot{I_a}\dot{I_b}\dot{I_c}は同じ大きさの電流であり、120°位相がずれています。これを複素数平面に図示すると、左図のようになります。


\dot{I_a}+\dot{I_c}を求める

交流電流計に流れる電流である\dot{I_a}+\dot{I_c}は、ベクトル和は、左図のように-\dot{I_b}となります。

\dot{I_b}が2.5[A]であることから、-\dot{I_b}の電流の大きさも、2.5[A]です。

以上より、(a)問題の答えは(2)2.50 が答えです。

 

 

(b)の解答の流れ
①3相分の全消費電力Pと電流Iから抵抗Rを求める
②負荷のインピーダンスZを求める
③三平方の定理から誘導性リアクタンスXを求める

①3相分の全消費電力Pと電流Iから抵抗Rを求める

1相分の消費電力P_1は、P_1=I^2Rであり、
3相分はその3倍なので、P=3I^2Rです。

式変形して、抵抗Rを求めます。
\displaystyle R=\frac{P}{3I^2}=\frac{6000}{3×10^2}=20[Ω]

 


②負荷のインピーダンスZを求める

相電圧E=\frac{400}{\sqrt{3}}[V]

相電流=線電流I=10[A]です。

負荷のインピーダンスZ[Ω]をオームの法則から求めます。
\displaystyle Z=\frac{E}{I}=23.1[Ω]


③三平方の定理から誘導性リアクタンスXを求める

R、X、Zの関係は、左図の通り直角三角形で表現されるので、
R^2+X^2=Z^2
X=\sqrt{Z^2-R^2}=\sqrt{23.1^2-20^2}≒11.5

以上より、(b)問題の答えは(1)11.5 が答えです。

 

 

出典元

一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和3年度 第三種電気主任技術者試験 理論科目B問題問15

参考書

イラストがとても多く、視覚的に理解しやすいので、初学者に、お勧めなテキストです。

問題のページよりも、解説のページ数が圧倒的に多い、初学者に向けの問題集です。
問題集は、解説の質がその価値を決めます。解説には分かりやすいイラストが多く、始めて電気に触れる人でも取り組みやすいことでしょう。

本ブログの管理人は、電験3種過去問マスタを使って電験3種を取りました。
この問題集の解説は、要点が端的にまとまっていて分かりやすいのでお勧めです。
ある程度学んで基礎がある人に向いています。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました