概要
ブリッジ回路の誤差率を求める問題です。
ブリッジ回路の平衡条件を理解が問われる問題です。
キーワード
ブリッジ回路、誤差率
問題
図のブリッジ回路を用いて、未知の抵抗の\(R_x[Ω]\)を推定したい。
可変抵抗\(R_3\)を調整して、検流計に電流が流れない状態を探し、平衡条件を満足する\(R_x[Ω]\)の値を求める。
求めた値が真値と異なる原因が、\(R_k(k=1,2,3)\)の真値からの誤差\(ΔR_k\)のみである場合を考え、それらの誤差率\(ε_k=\frac{ΔR_k}{R_k}\)が次の値であったとき、\(R_x\)の誤差率として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\(ε_1=0.01\)、\(ε_2=-0.01\)、\(ε_3=0.02\)

(1)0.0001 (2)0.01 (3)0.02 (4)0.03 (5)0.04
答え
(5)
解説テキスト リンク
回答解説
解答の流れ
①\(R_x[Ω]\)の真値をブリッジの平衡条件から求める
②\(R_1\)、\(R_2\)、\(R_3\)の誤差\(ΔR_1\)、\(ΔR_2\)、\(ΔR_3\)を求める
③\(R_x\)の測定値\(R_x+ΔR_x\)を求める
④誤差\(ΔR_x\)を求める
⑤誤差率\(ε_x\)を求める
①\(R_x[Ω]\)の真値をブリッジの平衡条件から求める
ブリッジの平衡条件から、
\(R_2R_x=R_1R_3\)
⇔\(\displaystyle R_x=\frac{R_1R_3}{R_2}\)
②\(R_1\)、\(R_2\)、\(R_3\)の誤差\(ΔR_1\)、\(ΔR_2\)、\(ΔR_3\)を求める
誤差率\(ε\)、誤差\(ΔR\)、真値\(R\)の関係式は、
\(\displaystyle ε=\frac{ΔR}{R}\) ⇔ \(ΔR=εR\)
となり、誤差を求める式が得られます。
問題文から、誤差率は、それぞれ\(ε_1=0.01\)、\(ε_2=-0.01\)、\(ε_3=0.02\)なので、
\(ΔR_1=ε_1R_1=0.01R_1\)
\(ΔR_2=ε_2R_2=-0.01R_2\)
\(ΔR_3=ε_3R_3=0.02R_3\)
③\(R_x\)の測定値\(R_x+ΔR_x\)を求める
誤差\(ΔR_x\)の定義が真値\(R_x\)と測定値\(M\)の差であることから、式変形すると測定値が得られます。
\(ΔR_x=R_x-M\) ⇔ \(M=R_x+ΔR_x\)
\(\begin{eqnarray}
M&=&R_x+ΔR_x \\ \\
&=&\frac{(R_1+ΔR_1)(R_3+ΔR_3)}{R_2+ΔR_2} \\ \\
&=&\frac{1.01R_1・1.02R_3}{0.99R_2}\\ \\
&=&1.04\frac{R_1・R_3}{R_2}\\ \\
&=&1.04R_x
\end{eqnarray}\)
④誤差\(ΔR_x\)を求める
③の項目で求めた測定値の計算結果から、式変形すると誤差\(ΔR_x\)が求まります。
\(R_x+ΔR_x=1.04R_x\)
⇔ \(ΔR_x=0.04R_x\)
⑤誤差率\(ε_x\)を求める
誤差率\(ε\)の式\( ε=\frac{ΔR}{R}\)から、
\(\displaystyle ε_x=\frac{ΔR_x}{R_x}=\frac{0.04R_x}{R_x}=0.04\)
以上より、(5)0.04 が答えとなります。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和3年度 第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問14
参考書
イラストがとても多く、視覚的に理解しやすいので、初学者に、お勧めなテキストです。
問題のページよりも、解説のページ数が圧倒的に多い、初学者に向けの問題集です。
問題集は、解説の質がその価値を決めます。解説には分かりやすいイラストが多く、始めて電気に触れる人でも取り組みやすいことでしょう。
本ブログの管理人は、電験3種過去問マスタを使って電験3種を取りました。
この問題集の解説は、要点が端的にまとまっていて分かりやすいのでお勧めです。
ある程度学んで基礎がある人に向いています。
コメント