概要
RLC並列接続時の交流の電流計算の問題です。
並列回路のインピーダンスの合成、合成されたインピーダンスの大きさの求め方を理解していれば解答できます。
RLC回路は、計算量が多くて取っ付きづらい問題が多いですが、この問題は比較的解答しやすい問題です。
キーワード
並列回路のインピーダンス、インピーダンスの大きさ、複素数
問題
図は、実効値が1Vで角周波数ω[krad/s]が変化する正弦波交流電源を含む回路である。
いま、ωの値がω_1=5krad/s、ω_2=10krad/s、ω_3=30krad/sと3通りの場合を考え、
ω=ω_k(k=1,2,3)のときの電流i[A]の実効値をI_kと表すとき、I_1,I_2,I_3の大小関係として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)I_1<I_2<I_3
(2)I_1=I_2<I_3
(3)I_2<I_1<I_3
(4)I_2<I_1=I_3
(5)I_3<I_2<I_1
答え
(3)
解説テキスト リンク
交流回路
関連箇所直リンク
・RLC並列回路
回答解説
解答の流れ
① インピーダンスZの式を求める
② ω_1を代入して電流の大きさ|I_1|を求める
③ ω_2を代入して電流の大きさ|I_2|を求める
④ ω_3を代入して電流の大きさ|I_3|を求める
① インピーダンスZの式を求める

抵抗R、コンデンサC、インダクタンスLが並列接続されているので、そのインピーダンスZを計算します。
\displaystyle \frac{1}{Z}=\frac{1}{R}+jωc+\frac{1}{jωL}
⇔\displaystyle \frac{1}{Z}=\frac{1}{R}+j \frac{ω^2LC-1}{ωL}
② ω_1を代入して電流の大きさ|I_1|を求める
ω_1=5krad/s=5×10^3rad/sを代入します。
・R=100kΩ=10^5Ω
・ωC=(5×10^3)×(10×10^{-6})=5^{-2}=0.05Ω
・ωL=(5×10^3)×(1×10^{-3})=5Ω
⇒ω^2LC=0.05×5=0.25
\displaystyle \frac{1}{Z_1}=\frac{1}{10^5}+j \frac{0.25-1}{5}=10^{-5}-j 0.15
オームの法則から、I_1を求める。
\displaystyle I_1=\frac{V}{Z_1}=\frac{1}{Z_1}=10^{-5}-j 0.15
I_1の大きさ|I_1|を求める。
|I_1|=\sqrt{(10^{-5})^2+0.15^2}≒0.15A
③ ω_2を代入して電流の大きさ|I_2|を求める
ω_2=10krad/s=10^4rad/sを代入します。
・R=100kΩ=10^5Ω
・ωC=(10^4)×(10×10^{-6})=10^{-1}=0.1Ω
・ωL=(10^4)×(1×10^{-3})=10Ω
⇒ω^2LC=0.1×10=1
\displaystyle \frac{1}{Z_2}=\frac{1}{10^5}+j \frac{1-1}{10}=10^{-5}+j 0
オームの法則から、I_2を求める。
\displaystyle I_2=\frac{V}{Z_2}=\frac{1}{Z_2}=10^{-5}
I_2の大きさ|I_2|を求める。
|I_2|=\sqrt{(10^{-5})^2+0}=10^{-5}≒0A
④ ω_3を代入して電流の大きさ|I_3|を求める
ω_3=30krad/s=3×10^4rad/sを代入します。
・R=100kΩ=10^5Ω
・ωC=(3×10^4)×(10×10^{-6})=3×10^{-1}=0.3Ω
・ωL=(3×10^4)×(1×10^{-3})=30Ω
⇒ω^2LC=0.3×30=9
\displaystyle \frac{1}{Z_3}=\frac{1}{10^5}+j \frac{9-1}{30}=10^{-5}+j 0.267
オームの法則から、I_3を求める。
\displaystyle I_1=\frac{V}{Z_3}=\frac{1}{Z_3}=10^{-5}+j 0.267
I_3の大きさ|I_3|を求める。
|I_3|=\sqrt{(10^{-5})^2+0.267^2}≒0.267A
④ 計算結果を比較する
|I_1|≒0.15A
|I_2|≒0A
|I_3|≒0.267A
以上より、(3)I_2<I_1<I_3と求まりました。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和1年度 第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問9
参考書
イラストがとても多く、視覚的に理解しやすいので、初学者に、お勧めなテキストです。
問題のページよりも、解説のページ数が圧倒的に多い、初学者に向けの問題集です。
問題集は、解説の質がその価値を決めます。解説には分かりやすいイラストが多く、始めて電気に触れる人でも取り組みやすいことでしょう。
本ブログの管理人は、電験3種過去問マスタを使って電験3種を取りました。
この問題集の解説は、要点が端的にまとまっていて分かりやすいのでお勧めです。
ある程度学んで基礎がある人に向いています。
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