MCCBは、電源をON/OFFするブレーカーです。
MCCBに似た装置として、MCB、NFB、ELB、CP等あります。
これらについて、それぞれ書いていきます。
MCCB
MCCBは、Molded Case Circuit Breakerの略称であり、一般的にブレーカーと呼ばれます。
MCCBは配線用遮断器とも呼ばれ、名前の通り配線を保護することを主目的として配電盤に取り付けられます。
MCCBの呼び方はいくつかあり、NFBは三菱電機のMCCBの製品名です。
広島方面出身のおじいちゃんがMCCBを指してテンパールと呼ぶ事もあります。
MCCBの機能は、過負荷や短絡等が原因として過電流が流れたとき、MCCBがそれを検知してOFFすることで、電流を遮断して配線を守ります。
配線はわずかながらも抵抗を持っています。そのため、配線に流せる電流の大きさには上限があり、それを超える電流が流れると、配線が熱を持ち始めます。
その熱は、最悪の場合は電線が融け落ちるまで熱くなるため、配線の被覆が熱で焼け落ち、むき出しとなった配線に木の床が触れたり、室内の内装が触れたりすることで燃えてしまい、火災につながることもあります。
たこ足配線による火災等がそうです。
MCB
MCBは、Miniature Circuit Breakerの略称であり、MCCBと同じくブレーカーと呼ばれます。
MCBも配線用遮断器とも呼ばれ、概ねMCCBと同じです。
MCCBと同じく、配線を保護することを主目的として配電盤に取り付けられます。
MCBは、装置名にミニチュアとつく通り、家庭用ブレーカーのような小容量の配線用遮断器を限定して指します。
MCCBは、工場で使用するような中~大容量の配線用遮断器を指します。
富士電機は、Schneider Electric社製のMCBをミニチュアサーキットブレーカーの名前でラインナップしています。MCCBはオートブレーカと呼んでいます。
ELB
ELBは、Earth Leakage circuit Breakerの略称であり、ELCBと呼ばれることもあります。
ELBとELCBは、共に漏電遮断器と呼ばれます。
漏電遮断器の名前の通り、ELBが漏電を検知すると電源OFFし、漏電による感電事故や、漏電火災を防ぐことができます。
漏電からの保護だけでなく、短絡・過負荷による過電流保護機能も持った物が主流で、OC付と呼ばれます。
漏電保護のみのものは、OCなしと呼ばれます。
漏電遮断器(OC付)
漏電遮断器(OCなし)
CP
CPは、Circuit Protectorの略称であり、MCCB(MCB)のように、電源をON/OFFする装置であり、CPに接続された回路を遮断することで、過負荷や短絡による過電流から保護するという点が共通しています。
MCCB(MCB)が配線保護を目的としているのに対し、CPは電源に接続される電子機器等の負荷を保護することを目的としています。
CPに繋がる負荷の種類によって、求められる遮断速度が異なるので、それに合わせたCPを選択することが必要になります。
CPの特徴
・動作速度が速いものから遅いものまで幅広く選べる。
種 類 | 使用例 |
瞬時型 | 電子回路 等 |
高速型 | 電子回路 等 |
中速型 | シーケンス回路、ヒータ回路 等 |
低速型 | モータ回路、トランス回路 等 |
・CPは概形が小さく省スペース化が図れる
・突入電流のような、瞬間的な大電流が流れると、予定外の動作をすることがあります。
シンボル
関連省令
・電気設備技術基準の解釈(経産省)
第5節 過電流、地絡及び異常電圧に対する保護対策
第33条 低圧電路に施設する過電流遮断器の性能等
・電気設備に関する技術基準を定める省令(経産省)
第十四条 過電流からの電線及び電気機械器具の保護対策
第十五条 地絡に対する保護対策
関連規格
- JIS C 8201-2-1 低圧開閉装置及び制御装置-第2-1部:回路遮断器
- JIS C 8201-2-2 低圧開閉装置及び制御装置-第2-2部:漏電遮断器
- JIS C 8211 住宅及び類似設備用配線用遮断器
- JIS C 8221 住宅及び類似設備用漏電遮断器-過電流保護装置なし
- JIS C 4610 機器保護用遮断器
関連ページ
参考書
電気設備の技術基準とその解釈について分かり易く解説されている一冊。
電気管理技術者必携は、電気管理の実務に役立つ本です。
実務を通してある程度知見を得ている人が、更に深く電気管理を学んで行くのに役立ちます。
端的に言うと、中級者向きです。
内線規程です。
電気設備に関する技術基準を定める省令や電気設備技術基準の解釈で不足する部分を具体的に補完する民間規格です。法的拘束力がある規格ではありませんが、設備設計、電気工事において、まず初めに参照するルールです。
コメント