電気主任技術者の働き方
電気主任技術者の資格を取って資格を活かした働き方をしたいと思っている人の中でも、具体的な働き方や、どんな場所で働けるのかについて、イメージがわかない人も多いのではないでしょうか。
本頁では、電気主任技術者としての働き方と場所について概要を紹介していきます。
働き方の大別
電気主任技術者としての働き方を大別すると、常駐型と巡回型という分け方ができます。

常駐型
常駐型の場合は、施設オーナー企業の社員として働く場合と、施設管理専門会社の社員として働く場合の2つがあります。
施設オーナー企業に所属
○○製作所という会社の工場があったとします。
工場が保全部門を抱えていて、自社で工場内の施設管理をしている場合、そこの保全部門の一社員として電気主任技術者業務をする場合です。
電気主任技術者として電気を専門に働くというよりは、設備保全部門の一員として工場全体の様々な設備を管理していくような働きかたになります。
施設管理専門会社に所属
○○製作所の設備保全の人員を確保が難しいとなったとき、その人員確保を施設管理専門会社に委託することがあります。そのときに、資格持ちを揃えるのが難しい電気主任技術者業務も一緒に委託することがあります。
そして、委託された施設管理専門会社の一員として電気主任技術者業務にあたる場合を意味しています。
巡回型
保安法人に所属
○○電気保安協会や、電力系のエンジニアリング会社、電気保安専門の会社に入社して働く方法です。
会社が契約を結んでいる顧客を担当として割り当てられます。担当案件を巡回して点検していく働き方です。
年次点検は人数を揃えて作業しなければならないので、社内で協力しあいながら点検をします。
個人事業主
電気保安管理事務所を設立し、個人事業主として働く方法です。
自分で営業をして契約した顧客や、地域の電気主任技術者の先輩から紹介してもらった顧客を巡回して点検していきます。保安法人の下請や、案件を振ってくれる会社の下請けとして働くこともあります。
この場合の働き方においても、年次点検は人数が必要な場合が多いので、地域の電気主任技術者と良好な関係を保ちつつ、協力しあいながら点検をしていきます。
電気主任技術者の職場
電気主任技術者の職場は、非常に幅広いです。
電気主任技術者は、電気保安における責任者として、日々、非常に大きなプレッシャーを受けて働いています。
職場毎のプレッシャーの大きさについて、影響の大きさをもとにまとめました。

職場毎の概要
職場毎の特徴をまとめました。場所によっては、記載した内容と全然異なることも多いかと思いますので、参考程度にしてください。
電気主任技術者として働く場合は、責任者的な立場で働く事が多いので、ネガティブな書き方が多いかもしれません。
発電所
系統安定度、同期、周波数制御等々、電験1種レベルの知識が実務で使われる世界です。
設備の規模も大きいため、発電所の実務では第二種以上が標準で、所長級となると第一種保有者は必須です。
1つの誤操作、1つの故障によって、広域停電につながる可能性がある責任を背負っています。
それだけ大きな責任を背負うので、個人ではなく、組織として動くことが基本になります。
発電所には、火力発電所、水力発電所、原子力発電所、太陽光発電所、地熱発電所等、様々な発電所があり、それぞれ設置される場所に特徴があります。共通する点は、地方や郊外に設置されるところです。
火力や原子力発電所は、大量の冷却水が必要だったり、燃料の運び込みの効率化のために海沿いにあることが多いです。
水力発電所は、ダムで堰き止めた河川の水を使って発電するので、河川上流や、山間部が勤務地になることが多いです。
変電所
系統保護、系統連系等、変電所も高度な知識が実務で使われます。
170kVを超える系統もあり、その場合は電験1種でないと選任できません。
変電所も、発電機と同様に1つの誤操作、1つの故障によって、広域停電につながる可能性がある責任を背負っています。
数万~数十万戸の家庭、鉄道、病院、通信施設、公共施設、工場等々、変電所につながる施設全てに影響を与えるので、事故が起こると新聞に載ります。
それだけ大きな責任を背負うので、個人ではなく、組織として動くことが基本になります。
病院
電気の専門性を持って、人命を直接支える裏方です。
公共施設の中でも、人命直結の責任が最も重く、24時間稼働のプレッシャーが強い現場です。
病院では、当然ながら医者・看護師が中心です。
医療従事者から見た電気主任技術者は、一般事務員と変わらない扱いをされる事も。施設内のインフラは医者から注目されないので、修繕予算が少ない病院もあったりなかったり。
各設備の維持が人命に直結するのに、老朽化した設備を騙し騙し扱っているような現場では、責任の重さと改善の見込みが無いということで気が滅入ることも。
病院で施設管理をしていた経験がある場合、一目置かれることでしょう。
鉄道
鉄道は社会インフラを支える重要な仕事です。鉄道好きには良い職場でしょうか。
鉄道では、変電所、き電設備、信号、駅・車両基地の高圧設備といった物を管理しています。
日中は鉄道が走っているので、終電後~始発前までの4時間程度が勝負な仕事です。
そのため、日勤が基本となるものの、夜間作業も多々あります。
生活リズムが狂いやすいので、体調を整えるのも仕事の一環です。
作業の遅延=始発の遅延になるので、時間に厳しい環境と言えるでしょう。
データセンター
DCは停電による損失額が大きいため、24時間365日、無停止運転が前提 の施設です。
そのため、設備の無停止とするための冗長構成がされます。
また、UPS・大容量電池・非常用発電機等、停電をさせないための装備が多く、電気設備の比重が大きいです。
工事は無停止工事が中心となるため、系統切替の作業計画、手順書とリスク管理が重要です。
外資系のDCもあり、英語を理解出来る必要がある現場もあります。
DCのオーナーには外資系・大手が多いため、待遇が良い現場が多い傾向があります。
シフト勤務や日勤+緊急呼出という形態の働き方になり、巡回型の電気主任技術者が出入りすることは少ないことでしょう。
上下水道施設
上下水道施設のオーナーは都道府県や市町村ですが、自治体職員が電気主任技術者として専任されることは少ないです。
施設管理の実務的な部分はビルメン会社に委託を出す事が殆どなので、ビルメン会社の人が専任されたり、地域の自営業の電気主任技術者(巡回型)に、電気保安業務のみ委託が出されたりします。
電力会社と同様に、社会インフラ施設ですが、施設の性質としては24時間稼働の工場に近いです。
決まった人以外と接する機会はほとんどなく、何も無ければ計画的に作業を進めていく事が多いです。
施設が停止すると、地域の上下水道が停止する大問題につながるので、設備の異常時は深夜にも呼出されます。台風、異常な大雨、雷雨、雪等の災害が予見される場合は施設に張り付くこととなります。
小さな自治体だと、設備の保全計画案を自治体に提出しても、予算の都合上で碌に修繕されないので機器故障は多いです。社会インフラなのに。
工場
工場は生産スケジュールが最優先です。
そのため、年1回の年次点検に伴う停電作業の短期間に、様々な用力設備・生産設備の更新、整備計画が大量に走ります。そのため、停電作業の管理は難儀します。
工場は常に生産性向上や省エネのための設備更新が行われるため、工事の管理能力も求められます。
電気設備以外の設備も多々あり、空調・ボイラー・コンプレッサー・ポンプなどの用力設備の対応の比重が大きいです。
用力設備も、生産設備もエネルギー使用量が大きいです。
そのため、エネルギー管理業務と省エネ提案を兼務することも多いので、エネルギー管理士の資格も取っておくと重宝されることでしょう。
ビル
ビルは、多様なテナント・利用者がいる公共性の高い施設です。
ビルメンと呼ばれる存在のど真ん中であり、電気だけでなく、空調、給排水・防災等の設備全体の管理の比重も大きく、建築設備全体の保安が出来ることが求められます。
ビルに入るテナントの入退去、レイアウト変更、電源管理、空調管理の工事調整も多く、工事管理能力も問われます。
テナント対応、ビルオーナーとの調整能力が問われる現場もあります。
商業施設
受変電設備以外の設備管理業務の割合が非常に高いので、電気主任技術者というよりは、ビルメン的な側面の方が強い現場です。
様々なテナントの対応が多く、コミュニケーション能力・調整力・クレーム対応力が問われます。
トラブル対応は閉店後や深夜に呼ばれる可能性もあります。
設備に支障があっても人命や社会的な影響はないので、責任面の重さは比較的軽い部類です。
したがって、技術的なスキル以上に、人間的なスキルが問われる現場です。

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