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FET(電界効果トランジスタ)

FET 半導体

FET(電界効果トランジスタ)とは

FET(電界効果トランジスタ:Field effect transistor)は、電圧をかけると発生する電界によって、電流を制御する方式のトランジスタです。

FETは、「ゲート」「ソース」「ドレイン」の3端子を持ち、ゲートにかかるゲート電圧によって、ソース-ドレイン間の電流を制御するのが主な機能です。

FETは、構造によって2種類に分かれます。
①接合型電界効果トランジスタ(JFET)
②金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)

 

JFET(接合型電界効果トランジスタ)

JFETとは、接合型電界効果トランジスタ(Junction Field Effect Transistor)の頭文字を取った呼び方です。
電界効果は、電圧を印加することで発生する電界の効果(Field Effect)によってキャリアを集めてチャネルを形成します。そうすることで動くトランジスタ(Transistor)であるためFETと呼びます。
JFETには、以下のような特徴があります。

JFETの長所
 ・入力インピーダンスが高い。
 ・小型化がしやすく、集積しやすい。
 ・高周波に適している。

JFETの短所
 ・ノイズに弱い
 ・静電気に弱い
 

N型JFETのシンボル

P型JFETのシンボル

N型JFETの動作

NチャネルのJFETは、ドレイン・ソース間に\(V_{DS}\)の電圧を印加すると、N型半導体のキャリアである電子がソースからドレインに流れます。
※電流は電子の流れの順方向になるので、S→Dに流れます。

ゲート・ソース間に逆バイアス \(V_{GS}<0\) を印加すると空乏層が拡がります。空乏層により、電子の流れる経路が狭くなるため、電子の流れが抑制されます。

さらに、逆バイアス電圧を大きくすると、空乏層によって電子の流れる経路がなくなりますので、電流が流れなくなります。

P型JFETの動作

PチャネルのJFETは、ドレイン・ソース間に\(V_{DS}\)の電圧を印加すると、P型半導体のキャリアである正孔がソースからドレインに流れます。
※電流は正孔の流れの逆方向になるので、D→Sに流れます。

ゲート・ソース間に逆バイアス \(V_{GS}>0\) を印加すると空乏層が拡がります。空乏層により、正孔の流れる経路が狭くなるため、正孔の流れが抑制されます。
さらに、逆バイアス電圧を大きくすると、空乏層によって正孔の流れる経路がなくなりますので、電流が流れなくなります。

 

 

MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)

MOSFETとは、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)の頭文字を取った呼び方です。

N型半導体と、P型半導体を組み合わせて作られるトランジスタで、NチャネルMOSFETと、PチャネルMOSFETに分かれます。
MOSFETには、以下のような特徴があり、様々な所で使用されています。

MOSFETの長所
 ・入力インピーダンスが高い。
 ・オン抵抗が低い。
 ・小型化がしやすく、集積しやすい。
 ・高周波に適している。

MOSFETの短所
 ・大電流を流すのに向かない
 ・静電気に弱い
 
 

N型MOSFET

P型MOSFET

N型MOSFETの動作

N型のMOSFETは、P型半導体のボディに、N型半導体のソース・ドレインで構成されます。
ゲートは、酸化膜を挟んで端子が形成されます。

MOSFETはゲートに電源を接続して、+の電圧を印可すると、コンデンサのように酸化膜に+の電荷が溜まります。
酸化膜の逆側には、-の電荷が溜まっていきます。
溜まった-電荷によって、ドレインとソースのN型半導体間にチャネルと呼ばれる電流が通る経路が形成されます。

N形MOSFET

ドレイン-ソース間に電圧を印加することで、ソースからドレインに電子が流れますので、電流はその逆の流れとなりドレインからソースに流れます
ゲート-ソース間電圧\(V_{GS}\)を変化させることで、チャネルのキャリア(-電荷)濃度を操作することができるため、ドレイン電流の電流量を変化させることができます。

以上のように、金属酸化膜半導体(Metal Oxide Semiconductor)で形成したゲート端子に、電圧を印加することで、電界効果(Field Effect)によってキャリアを集めてチャネルを形成します。そうすることで動くトランジスタ(Transistor)であるため、金属酸化膜電界効果トランジスタ(MOSFET)と呼びます。

P型MOSFETの動作

P型のMOSFETは
N型半導体のボディに、P型半導体のソース・ドレインで構成されます。ゲートは、酸化膜を挟んで端子が形成されます。

MOSFETはゲートに電源を接続して、-の電圧を印可すると、コンデンサのように酸化膜に-の電荷が溜まります。
酸化膜の逆側には、+の電荷が溜まっていきます。
溜まった+電荷によって、ドレインとソースのP型半導体間にチャネルと呼ばれる電流が通る経路が形成されます。

P形MOSFET

ソース-ドレイン間に電圧を印加することで、ソースからドレインに電流を流すことができます。

ドレイン-ソース間に電圧を印加することで、ソースからドレインに正孔が流れますので、電流は同じ流れとなりソースからドレインに流れます。
ゲート-ソース間電圧\(V_{GS}\)を変化させることで、チャネルのキャリア(-電荷)濃度を操作することができるため、ドレイン電流の電流量を変化させることができます。

  

 

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