漏電調査

漏電調査 電気設備

漏電による問題

主幹ブレーカーに漏電警報器付の物を使用したり、キュービクルに漏電警報器を取り付けて漏電検知するようにしている現場も多い事かと思います。
何故、漏電を検知し、対策をしていかなければならないでしょうか。

それは、漏電によって、次に挙げるような問題が発生するためです。
問題が大きくなる前に早期発見し、対策することが大事です。

  1. 感電事故
    漏電した機器や配線に人が触れると感電してしまいます。
    低圧の電源でも死亡に至る事故が毎年多く発生しています。
  2. 漏電火災
    漏電電流によって配線や機器が発熱します。
    その近くにある可燃物が発火することで、火災につながります。
  3. 機器の故障
    漏電電流によって、本来流れるべきでない部分や回路に電流が流れます。そのことにより、信号が正常に伝わらなくなり、異常動作をするおそれがあります。また、部品は配線が破損することもあります。
  4. 電源の異常
    電源と接地が完全につながることで、大電流が流れます。
    その影響によって瞬時電圧低下を起こし、同じ電源につながっている機器の電源が落ちる等の影響を与えることがあります。

 

漏電調査方法

通電状態で漏電調査をする方法について紹介していきます。

使用機器(クランプメータ)

漏電調査には、漏電範囲の絞り込みにリーククランプメータを使用します。
絞り込んだ後は、絶縁抵抗測定器を使用します。

クランプメータの中でも、リーククランプメータと呼ばれるような漏れ電流測定専用の物を使用する必要があります。
通常のクランプメータでは、センサ感度が不足し、測定レンジが大きいためです。
また、ノイズ除去フィルタもないため、漏れ電流がノイズに埋もれて正しく測定できません。

リーククランプメータの選択

リーククランプメータと一概に言っても多くの種類があり、機能も値段もピンキリです。
選定するときに見ている点について参考にまとめました。

必須機能

  • クランプ径
    測定対象とするケーブルサイズによってクランプ径を選択します。
    60sq程度まではΦ40、150sq程度まではΦ80で対応可能です。
    狭い所には小さいクランプ径でないと入らないので、
  • 測定範囲
    漏電電流測定では1mA流れていると、絶縁状態が悪いと判断されます。
    そのため、それよりも精度の高い0.01mAから測れる物が良いです。
  • DC測定機能
    太陽光発電所では、DC電流も測定出来るものが必要です。
    それ以外の場所では、基本的には使わないと思います。

便利機能

  • 高調波除去機能
    インバータ等の高周波が入り込む場合は、高調波除去をしないと、本来の電流値よりも大きな電流値が表示されてしまいます。様々な機器がインバータを搭載しているため、測定対象が明確に決まっていない場合は高調波除去機能があった方が良いでしょう。
  • I0r測定
    高調波除去と同様に、インバータ等の高調波が入り込む機器がある回路に必要な機能です。
    通常のリーククランプメータではI0成分しか測定できません。
    高調波対策用のコンデンサがI0c成分を発生させ、I0r成分と合成したものがI0成分として出てくるため、実際に測定すべきI0rよりも大きな値が出るためです。
    ケーブルをクランプした上に、電圧の位相測定用のワニ口クリップでも測定しなければならないため少々手間です。
  • 負荷電流の測定
    負荷電流の測定もついでに出来るクランプメータであれば、用途に合わせて何個も持つ必要がないので便利です。


 

リーククランプメータの使い方

1.電源ラインを全てクランプする方法
三相三線式の電源ラインでは、三線一括してクランプします。
単相三線式の電源ラインの場合は、三線一括してクランプします。
単相二線式の電源ラインの場合は、二線一括してクランプします。

電気機器が正常な場合
機器が正常なとき、L相から機器に流れる電流は、全てN相から帰ってきます。
大きさが同じで、向きが逆の電流が流れているため、2本を同時にクランプすることで、2つの電流が相殺されて0Aになります。
三相三線式のときも、同様の原理です。

電気機器が漏電している場合
機器が漏電しているとき、L相から機器に流れる電流は、漏電箇所を通して接地に流れ込む漏電電流と、N相に分かれます。
その結果、L相とN相の電流の大きさに漏電電流\(I_g\)の分差が出ますので、
\(I_g=I_L-I_N\)
となり、漏電電流を測定することができます。

 

2.接地線をクランプする方法

電気機器が漏電している場合
機器が漏電しているとき、L相から機器に流れた電流が、漏電箇所を通して接地に流れ込むので、その漏電電流を直接測定することができます。
ただし、漏電電流の経路は一つとは限らないので、電源ラインを全て一括クランプする場合よりも低く出ることもあります。

 

漏電箇所の特定方法

漏電火災警報器の発報や、主幹ブレーカーに取り付けられた漏電警報器の発報を見つけたとき、漏電箇所を特定する方法についてまとめていきます。
基本的に、電気的な系統として大きな部分から、徐々に小さな部分に絞っていく手法を取ります。
漏電が起きている系統のブレーカーがわかった後、電源を落として絶縁測定し、具体的に改善が必要な部分を確認するのが一連の流れです。

①主幹ブレーカーの漏電電流を測定する
主幹ブレーカーが電気的な系統として最も大きな部分です。
主幹ブレーカーの漏電電流測定を行うと、主幹ブレーカーにつながる全ての配線・負荷の漏電電流をまとめて測定することが出来ます。

左図の例で、負荷1~5や、途中の配線に漏電があれば、主幹でも漏電電流を検出できます。
そのため、この主幹に接続されている系統で漏電が起きていることがわかります。

②分岐ブレーカーの漏電電流を測定する
①で、どこかで漏電が起きている起きていることがわかったので、それぞれの負荷につながる分岐ブレーカーの漏電電流測定をすることで漏電箇所を絞り込むことができます。

左図の例で、負荷1のブレーカーで漏電が測定できた場合、負荷1か、その途中の配線で漏電が起きていることがわかります。

③分岐ブレーカーの電源をOFFする
以降の手順は、絶縁抵抗を測定することで詳細に調べていきます。
絶縁抵抗計を使った調査は、ブレーカーの電源が入っていると短絡事故や、感電事故の危険があるため、分岐ブレーカーの電源をOFFして安全を確保します。
絶縁抵抗測定をする前のブレーカーOFFの工程は超重要です。

④負荷を離線する
漏電している原因が配線か、負荷かを切り分けて調べるために離線します。

⑤配線の絶縁抵抗を測定する
アース端子を絶縁抵抗計のクリップでつかみ、プローブを配線の金属部分に当てることで絶縁抵抗値を測定します。
このとき、絶縁抵抗が悪いと配線の何処かで被覆が破れ、付近の金属部に接触するなどをしているおそれがあります。
(判定基準:150V以下の回路では0.1MΩ未満、150V以上の回路では0.2MΩ未満)

⑥負荷の絶縁抵抗を測定する
アース端子を絶縁抵抗計のクリップでつかみ、プローブを負荷の電源端子部分に当てることで絶縁抵抗値を測定します。
このとき、絶縁抵抗が悪いと内部回路の故障で導通してはいけない部分に電流が流れている等が考えられます。屋外に設置されている機器の内部に結露が発生して、漏電する等がよくあるパターンです。

 

漏電箇所特定後の処置

漏電箇所が配線の場合、被覆が致命的に損傷していると、新しい配線を引き直すのが最善です。
配線から漏電が起きていることは、配線の被覆が絶縁抵抗値をなくすほど損傷しているためです。

可能であれば、被覆が破れている箇所を特定できると、その原因についても対策を講じることができるため良いです。しかし、被覆が破れる明確な切っ掛けがわからない限り、原因箇所を特定するのは難しいでしょう。

損傷箇所を特定して、熱収縮チューブで補強する、自己融着テープで巻く等の応急処置もありますが、その後、計画的に配線の引き直しをした方が良いでしょう。

 

漏電箇所が負荷の場合は、負荷それぞれに応じて対応方法は異なりますが、基本的には機器内の漏電箇所を特定して修繕する必要があります。
小型の機器等であれば、丸ごと更新するのが楽です。

 

絶縁が悪くないのに測定値が高いとき

漏電電流値が高ければ、電源を落として詳細を探るために絶縁抵抗測定をすることでしょう。
しかし、測定結果は100MΩ以上等で高く、全く問題なかったときはないでしょうか。

絶縁抵抗値が悪くないのに漏電電流値が高いとき、いくつかの原因が考えられます。

 

1.適さないクランプメータを使用している

使用機器の項目でも紹介した通り、漏電電流にはリーククランプメータと呼ばれる精密測定が出来る物を使用しなければなりません。

クランプメータと一概に言っても、最大2000Aまで測定できるような大電流測定に向いた物から、最小1μAまで測定できるような超精密測定に向いた物まで幅広くあります。

そのため、漏電電流用のクランプメータを購入する際、使用する際には、その分解能をしっかりと確認しましょう。

1mAで漏電が発生しているという判断になることから、0.01mAから測定できるような高精度の物を使用しましょう。

 

2.高調波を拾ってしまっている

原因

エアコンの室外機等のインバータが内蔵された機器は、大きな高調波漏れ電流を発生します。
高調波漏れ電流とは、基本波(50/60Hz)の整数倍の周波数の漏れ電流のことです。
 ・2倍の周波数(100/120Hz)の高調波は2次高調波
 ・3倍の周波数(150/180Hz)の高調波は3次高調波
 ・n倍の周波数(50×n / 60×n Hz)の高調波はn次高調波です。

絶縁劣化していない正常な機器においても流れるため、大きな漏れ電流を検知した系統の絶縁抵抗値を測定しても十分な絶縁が取れているといったことが起こります。

 

測定の対策方法

フィルタ機能があるリーククランプメータを使用しましょう。
フィルタ機能というのは、基本波は通し、高い周波数成分の高調波は遮断するというローパスフィルタのことです。
高調波成分の誤検知に悩んでいる場合は、一気に解決できる可能性が高いです。

ただし、周波数特性には注意してください。
比較的手に取りやすい価格の物は、200Hzで-10dB(約3/10倍)。
ある程度するものは200Hzで-20dB(1/10倍)まで高調波を減衰させてくれる印象です。

インバータが発する高調波は、\(6n±1\)次(5・7・11・13次)高調波が主に含まれるので、比較的安い物でも漏電調査には十分使えます。
ただし、測定値が何かしらの根拠として使用される場合には、ある程度の価格の物を使った方が良いでしょう。

メーカーによって、物によって、特性も全くことなるので、クランプメータを購入する前に出来るだけ周波数特性を確認しましょう。
メーカーにもよると思いますが、取扱説明書等か、カタログ、技術資料等にフィルタ特性のグラフがあると思います。

 

3.零相容量電流(I0c)を拾ってしまっている

I0・I0r・I0cとは?

I0とは、零相電流のことです。合成漏れ電流と呼ぶこともあります。
零相電流(I0)は、クランプメータで線をまとめて一括測定したときに出る値です。
合成漏れ電流と呼ぶこともあるように、後述する有効漏れ電流(I0r)と、無効漏れ電流(I0c)が合成された漏れ電流です。

I0rとは、有効漏れ電流のことです。
有効漏れ電流(I0r)は、ケーブル劣化や、水分の侵入によって、実際に絶縁抵抗が低下したときに流れる漏れ電流です。
有効漏れ電流(I0r)が、感電死傷事故や、漏電火災につながる危険なものです。
I0rが1mAを超えないように管理をすることがとても重要です。

I0cとは、無効漏れ電流のことです。
無効漏れ電流(I0c)は、長いケーブルの静電容量であったり、インバータが発生させたりする漏れ電流です。
無効漏れ電流(I0c)は、絶縁とは無関係であり、大きくても感電事故や漏電火災は発生しません。

I0・I0r・I0cの関係は、
\(I0=\sqrt{I0r^2+I0c^2}\)
で表されます。

 

原因

エアコンの室外機等のインバータが内蔵された機器は、高調波以外にも無効漏れ電流(I0c)を発しています。

クランプメータで測定できる漏れ電流はI0であるため、I0rが0mAであったとしても、I0cが大きいと、I0=I0c であるため、大きな漏れ電流が発生していると誤検知してしまいます。

 

測定の対策方法

I0r測定機能があるリーククランプメータを使用しましょう。

I0r測定機能は、電圧と電流の位相差角を見る機能なので、
漏電電流測定 + 電圧測定
を同時にする必要があります。

そのため、ケーブルを一括クランプした上で、I0rから電圧位相測定用のプローブをR相とT相に接続する必要があります。


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