概要

人の声や自然の音などの音声は、アナログな情報です。そして、PCが取り扱えるデータはデジタル信号です。
アナログ信号である人の声をマイクで拾って、デジタル信号しか取り扱えないPCに保存するには、アナログ-デジタル変換器(ADC:Analog Digital Converter)で変換する必要があります。
逆に、PCに保存されたデータからスピーカーで音楽を流すには、デジタル-アナログ変換器(DAC:Digital Analog Converter)で変換する必要があります。
ADCの過程
ADCをする過程は3段階あります。
1.標本化(サンプリング)
2.量子化
3.符号化
1.標本化(サンプリング)

標本化は、ADCに入力されたアナログ信号を一定時間ごとに区切る工程です。
一定時間ごとにアナログ値のサンプルを取ることから、標本化をサンプリングとも呼びます。
アナログ値をサンプリングする周波数を、サンプリング周波数\(f_s\)と呼びます。
サンプリング周波数が高ければ高い程、得られる情報量が増えるため、精度が高くなります。
サンプリング周波数\(f_s\)の1/2の周波数をナイキスト周波数\(f_n\)と呼びます。
サンプリング対象の信号周波数\(f_{sig}\)としたとき、信号周波数\(f_{sig}\)がナイキスト周波数\(f_n\)を超えると、折り返し雑音(エイリアシング)と呼ばれるノイズが発生します。
そのため、サンプリング周波数は、信号周波数よりも十分に高い必要があります。
2.量子化

量子化とは、標本化されたアナログ信号を、デジタル信号で取り扱いできるように値を切捨て処理をする工程です。
切捨て処理をすることから、本来のアナログ値と、量子化後のデジタル値の間には誤差が発生します。
これを量子化誤差と呼び、この誤差がAD変換の精度を大きく左右します。
量子化誤差が発生するのは避けられないですが、量子化誤差を減らすために様々なAD変換の方法が考えられています。(逐次比較型ADC、二重積分型ADC、パイプラインADC、ΔΣ型ADC等々)
3.符号化

符号化は、量子化された値を2進数表現に変換する工程です。
2進数表現するときのビット数を分解能と呼び、ビット数が多いほど細かな値を表現することができます。
例として、10Vの電圧信号を8bitの分解能でAD変換したときを考えます。
8bitのとき、\(2^8-1=255\)個の数字で、10Vを255分割して表現することができるので、\(\frac{10V}{255}≒39.2mV\)の精度で、電圧を表すことが出来ます。
10Vの電圧信号を24bitの分解能でAD変換したとき、10Vを24bit\(=2^{24}-1=16777215\)分割できるので、\(\frac{10V}{16777215}≒0.6μV\)の精度で、電圧を表すことが出来ます。
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