概要
抵抗温度係数の問題です。
難問というほどでは無いですが、抵抗温度係数の算出、並列抵抗値の算出、変化率の計算の3段階の計算が必要であるため、少々手間が掛かります。
キーワード
抵抗温度係数、並列接続、変化率
問題
20℃における抵抗値がR_1[Ω]、抵抗温度係数がα_1[℃^{-1}]の抵抗器Aと
20℃における抵抗値がR_2[Ω]、抵抗温度係数がα_2=0℃^{-1}の抵抗器Bが
並列に接続されている。
その20℃と21℃における並列抵抗値をそれぞれr_{20}[Ω]、r_{21}[Ω]とし、\displaystyle \frac{r_{21}-r_{20}}{r_{20}}を変化率とする。
この変化率として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)\displaystyle \frac{α_1R_1R_2}{R_1+R_2+α^2_1R_1} (2)\displaystyle \frac{α_1R_2}{R_1+R_2+α_1R_1}
(3)\displaystyle \frac{α_1R_1}{R_1+R_2+α_1R_1} (4)\displaystyle \frac{α_1R_2}{R_1+R_2+α_1R_2}
(5)\displaystyle \frac{α_1R_1}{R_1+R_2+α_1R_2}
答え
(2)
解説テキスト リンク
回答解説
20℃、21℃のときの抵抗器A・Bの各抵抗を求める
①20℃における抵抗器Aの抵抗値は、問題文からR_1[Ω]
②21℃における抵抗器A抵抗値を、R’_1とすると、抵抗温度係数の式から
R’_1=R_1(1+α_1(t_{21}-t_{20}))=R_1(1+α_1(21-20))=R_1(1+α_1)
③20℃における抵抗器Bの抵抗値は、問題文からR_2[Ω]
④21℃における抵抗器B抵抗値を、R’_2とすると、抵抗温度係数の式から
R’_2=R_2(1+α_2(t_{21}-t_{20}))=R_2(1+0(21-20))=R_2
20℃、21℃のときの並列接続の合成抵抗値r_{20}[Ω]、r_{21}[Ω]を求める
①20℃のときの合成抵抗値r_{20}は、
\displaystyle \frac{1}{r_{20}}=\frac{1}{R_1}+\frac{1}{R_2}
⇔ \displaystyle r_{20}=\frac{R_1R_2}{R_1+R_2}
②21℃のときの合成抵抗値r_{21}は、
\displaystyle \frac{1}{r_{21}}=\frac{1}{R’_1}+\frac{1}{R’_2}
⇔ \displaystyle r_{21}=\frac{R’_1R’_2}{R’_1+R’_2}=\frac{R_1R_2(1+α_1)}{R_1(1+α_1)+R_2}
変化率\displaystyle \frac{r_{21}-r_{20}}{r_{20}}を求める
変化率の式を展開していきます。
\displaystyle \frac{r_{21}-r_{20}}{r_{20}}
\displaystyle =\frac{r_{21}}{r_{20}}-1
\displaystyle =\frac{R_1R_2(1+α_1)}{R_1(1+α_1)+R_2}・\frac{R_1+R_2}{R_1R_2}-1
\displaystyle =\frac{R_1+R_2+α_1R_1+α_1R_2}{R_1+R_2+α_1R_1}-1
\displaystyle =\frac{R_1+R_2+α_1R_1+α_1R_2}{R_1+R_2+α_1R_1}-\frac{R_1+R_2+α_1R_1}{R_1+R_2+α_1R_1}
\displaystyle =\frac{α_1R_2}{R_1+R_2+α_1R_1}
以上より、(2)\displaystyle \frac{α_1R_2}{R_1+R_2+α_1R_1}が答えです。
出典元
一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問7
参考書
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問題集は、解説の質がその価値を決めます。解説には分かりやすいイラストが多く、始めて電気に触れる人でも取り組みやすいことでしょう。
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