【電験三種:理論】令和2年度 問4

電験三種令和2年度理論問4 令和2年度

概要

磁力線の性質に関する論説問題です。
電気力線も、磁力線も同じような性質を持つので、一緒に学んでしまうと良いでしょう。

キーワード
磁力線

問題

磁力線は、磁極の働きを理解するのに考えた仮想的な線である。
この磁力線に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)磁力線は、磁石のN極から出てS極に入る。
(2)磁極周囲の物質の透磁率を\(μ[H/m]\)とすると、\(m[Wb]\)の磁極から\(\frac{m}{μ}\)本の磁力線が出入りする。
(3)磁力線の接線の向きは、その点の磁界の向きを表す。
(4)磁力線の密度は、その点の磁束密度を表す。
(5)磁力線同士は、互いに反発し合い、交わらない。


答え

(4)

要点整理

磁力線の性質

磁力線の性質
・N極から出て、S極に入る
・磁荷の無い所からは発生も消失もしない
・磁力線は交わらない
・磁力線は枝分かれしない
・磁力線は途切れない
・N極同士もしくはS極同士を近づけた場合、反発しあう。
・磁力線の向きと磁界の向きは同じ。
・磁力線の密度は磁界の強さに比例する。

磁力線の性質は、電気力線の性質と同じ性質を持ちます。

電荷qと磁荷mの対応

電荷\(q_1[C]\)に対応する磁荷\(m_1[Wb]\)の対応表は下記の通りとなります。

電荷量\(q_1[C]\)磁荷量\(m_1[Wb]\)
正電荷・負電荷N極・S極
誘電率\(ε[F/m]\)透磁率\(μ[H/m]\)
電気力線の本数
\(\displaystyle N=\frac{q_1}{ε}\)
磁力線の本数
\(\displaystyle N=\frac{m_1}{μ}\)
電界強度\(E[V/m]\)
電界強度\(E[V/m]\)は、電気力線の密度です。
\(\displaystyle E=\frac{N}{S}=\frac{q_1}{4πεr^2}\)
磁界強度\(H[A/m]\)
磁界強度\(H[A/m]\)は、磁力線の密度です。
\(\displaystyle H=\frac{N}{S}=\frac{m_1}{4πμr^2}\)
クーロン力\(F[N]\)
\(\displaystyle F=q_2E=\frac{q_1q_2}{4πεr^2}\)
クーロン力\(F[N]\)
\(\displaystyle F=m_2H=\frac{m_1m_2}{4πμr^2}\)
電束密度\(D[C/m^2]\)
\(D=εE\)
磁束密度\(B[Wb/m^2]\)(\(B[T]\))
\(B=μH\)

回答解説

(1)磁力線は、磁石のN極から出てS極に入る。
  ⇒磁力線の性質から、磁力線はN極から出てS極に入るため正しいです。

(2)磁極周囲の物質の透磁率を\(μ[H/m]\)とすると、\(m[Wb]\)の磁極から
   \(\frac{m}{μ}\)本の磁力線が出入りする。
  ⇒\(m[Wb]\)の磁極(磁荷)から出入りする磁力線の本数は、\(\frac{m}{μ}\)本
   であるため正しいです。

(3)磁力線の接線の向きは、その点の磁界の向きを表す。
  ⇒磁力線の接線の向きは、その点の磁界の向きを表しますので正しいです。

(4)磁力線の密度は、その点の磁束密度を表す。
  ⇒磁力線の密度は、磁界強度\(H[A/m]\)ですので間違いです。
   磁束密度\(B[Wb/m^2]\)は、磁極から出入りする磁束\(m[Wb]\)の密度です。

(5)磁力線同士は、互いに反発し合い、交わらない。
  ⇒磁力線の性質から、磁力線同士は、互いに反発し合い、交わりませんので正しいです。

以上より、答えは (4) です。

出典元

令和2年度第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題問4

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