【電験三種:理論】令和4年度下期 問3

電験三種令和4年度下期理論問3 令和4年度下期

難易度

磁力線に関する基礎的な論説問題です。
磁力線に関する基本的な性質と、アンペールの法則を理解しておいた方が良いでしょう。

問題

無限に長い直線状導体に直流電流を流すと、導体の周りに磁界が生じる。
この磁界中に小磁針を置くと、小磁針のは磁界の向きを指して静止する。

そこで、小磁針を磁界の向きに沿って少しずつ動かしていくと、導体を中心とした の線が得られる。

この線に沿って磁界の向きに矢印をつけたものをという。

また,磁界の強さを調べてみると,電流の大きさに比例し,導体からのに反比例している。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)N極放射状電気力線距離の2 乗
(2)N極同心円状電気力線距離の2 乗
(3)S極放射状磁力線距離
(4)N極同心円状磁力線距離
(5)S極同心円状磁力線距離の2 乗


答え

(4)

要点整理

電流と磁界の向き

直線状導体に電流を流すと、電流を中心に同心円状の磁界が発生します。その向きは、右手で親指を立てたとき、
・電流:親指の向き
・磁界:他の指の向き
となります。
これを右ねじの法則と呼びます。
方位磁石のN極は、磁界の向きを指します。

アンペールの法則

電流が作る磁界中で、磁界の強さが等しい所をたどって1周したときの磁路の長さ\(l=2\pi r[m]\)と、磁界の強さ\(H[A/m]\)の積が、電流\(I[A]\)に等しいという法則です。

式に示すと、
\( \displaystyle I=\oint_C Hdl\) \(=Hl=H\times 2\pi r \)
となります。変形すると、
\(\displaystyle H=\frac{I}{2\pi r}[A/m]\)
となります。

磁力線の性質

①・②の性質の図

④・⑤の性質の図

磁力線の性質をまとめると以下の通りです。
① N極(+磁荷)から発生し、S極(-磁荷)に吸収される。
② 磁力線でつながった磁荷の間には、引力が働く
 (つながった本数が多い程大きな力が働く)
③ 磁荷の無い所から発生したり消滅したりしない。
④ 磁力線は交わらない。
⑤ 磁力線は交わらないため、同じ符号の磁荷の間には斥力が働く
⑥ 磁力線は分岐しない。
⑦ 磁力線は途切れない。
⑧ 磁荷の大きさと、磁力線の本数は比例する。

回答解説


小磁針はN極の向きを指します。


 

電流と磁界の向きの要点整理のとおり、直線状導体に電流を流すと、導体を中心とした同心円状の磁界が発生します。

同心円状の磁界に線を引き、矢印をつけたものを磁力線と呼びます。


アンペールの法則から、電流\(I[A]\)と磁界の強さ\(H[A/m]\)の関係は、
\( \displaystyle I=\oint_C Hdl\) \(=Hl=H\times 2\pi r \)
\(\displaystyle H=\frac{I}{2\pi r}[A/m]\)

したがって、磁界の強さ\(H\)は、
電流\(I[A]\)に比例し、導体からの距離\(r[m]\)に反比例しています。


以上より、(4)が答えです。

出典元

一般財団法人 電気技術者試験センター
 令和4年度第三種電気主任技術者試験 理論科目A問題下期問3

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