変圧器とは
変圧器(トランス)は、交流電圧を別の電圧に変換する重要な電気機器です。
発電所で発電した電圧を、送電に適した電圧である数万~数十万ボルトまで昇圧したり、家庭や工場で使うために低電圧に下げたりするのに使われています。
変圧器の構造

変圧器の基本構造はシンプルで、
鉄心に入力側の一次巻線と、出力側の二次巻線を巻くことで作ることができます。
①鉄心
磁束の通り道となる部品です。
磁束を効率よく通すために、高い透磁率を持つケイ素鋼板等の磁性材料を使います。
鉄心の厚みの二乗に比例して渦電流損が増加するため、薄く重ねた積層鉄心を使用しています。
②一次巻線
変圧器への入力側のコイルです。
銅線やアルミニウム線を絶縁して鉄心に巻きます。
巻数によって電圧が変化します。
③二次巻線
変圧器の出力側のコイルです。
一次巻線よりも巻数が多いと、入力電圧よりも高い電圧が出力されます。
一次巻線よりも巻数が少ないと、入力電圧よりも低い電圧が出力されます。
変圧器の動作原理
コイル内を通る磁束\(\phi\) が変化したとき、その反作用として磁束の変化を妨げる方向にコイルが磁束\(\phi_r\) を作ります。この妨げる磁束を作る法則をレンツの法則と呼びます。
コイルが妨げる磁束\(\phi_r\) を作るため、逆起電力\(E\) がコイルの両端に発生してコイル内に電流\(I\) を流します。この現象を電磁誘導といいます。
この電磁誘導による起電力の大きさは、コイルと鎖交する磁束の変化の割合に比例します。
この誘導起電力と、変化する磁束鎖交数を紐づける法則を、ファラデーの電磁誘導の法則と呼びます。
変圧器はコイルに発生する誘導起電力を使い、必要な電圧を取り出します。
ファラデーの電磁誘導の法則の式
\(\displaystyle E=-N\frac{d \phi}{dt}\)
\(E[V]\):誘導起電力
N:コイルの巻数
\(\phi[Wb]\):磁束
\(t[s]\):時間
変圧器の動作概要

➡

変圧器の動作の流れ
- 一次巻線に一次電圧\(\dot{V_1}\) を加える。
- 一次巻線に一次電流\(\dot{I_1}\) が流れる。
- 一次巻線の周りにアンペールの法則に従って磁束\(\dot{\phi_1}\) が発生する。
- ファラデーの電磁誘導の法則に従い、一次巻線に一次誘導起電力\(\dot{E_1}=-N \frac{d \phi_1}{dt}\)が発生する。
- 磁束\(\dot{\phi_1}\) が鉄心を通り、二次コイル内を磁束が通り抜ける。(磁束が鎖交する)
- 二次コイルは、磁束の変化により、ファラデーの法則に従って二次誘導起電力\(\dot{E_2}\) が発生する。
- 二次側の負荷に二次電流\(\dot{I_2}\) が流れ、電力が伝達される。
変圧器の特徴
長所
・構造に可動部がなく、故障し難い
・電圧の変換を効率よく行える
短所
直流の変換ができない
変圧器が交流でしか動かない理由
変圧器は、磁束の変化によって電圧が生まれます。
直流では磁束が変化しないため、電圧が誘導されません。
このことから、変圧器は交流専用の機器です。



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