【電験三種:機械】令和6年度下期 問3

電験三種令和6年度下期機械問3 令和6年度下期

概要

巻線形誘導電動機の停動トルクと、比例推移に関する問題です。
選択肢単体では判断が難しいものもありますが、総合的には基本的な内容を覚えていれば回答できる簡単な問題です。

キーワード
誘導電動機、停動トルク、比例推移

 

問題

巻線形誘導電動機のトルク-回転速度曲線は、電源電圧及び \(\fbox{(ア)}\) が一定のとき、発生するトルクと回転速度との関係を表したものである。

この曲線は、ある滑りの値でトルクが最大となる特性を示す。
このトルクを最大トルク又は \(\fbox{(イ)}\) トルクと呼んでいる。
この最大トルクは \(\fbox{(ウ)}\) 回路の抵抗には無関係である。

巻線形誘導電動機のトルクは \(\fbox{(ウ)}\) 回路の抵抗と滑りの比に関係するので、 \(\fbox{(ウ)}\) 回路の抵抗が \(k\) 倍になると、前と同じトルクが前の滑りの \(k\) 倍の点で起こる。

このような現象は \(\fbox{(エ)}\) と呼ばれ、巻線形誘導電動機の始動特性の改善及び速度制御に広く用いられている。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 (ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)電源周波数停動二次比例推移
(2)電源周波数停動一次二次励磁
(3)負荷臨界一次比例推移
(4)電源周波数臨界二次二次励磁
(5)負荷臨界二次比例推移

 

答え

(1)

 

解説テキスト リンク

 

回答解説

\(\fbox{(ア)}\)

誘導電動機のトルク\(T[N・m]\)は次式で表されます。(トルクの式の導出の詳細
\(\displaystyle T=\frac{\frac{r’_2}{s}}{(r_1+\frac{r’_2}{s})^2+(x_1+x’_2)^2}\frac{V^2}{ω_s}\) …①

定格運転しているとき、滑りは\(s<<1\)です。
このとき、次の2つの近似関係が成り立ちます。
 ・\(\frac{r’_2}{s}>>r_1\)
 ・\(\frac{r’_2}{s}>>x_1+x’_2\)

この近似関係から、①式中の\(r_1\)と、\(x_1+x’_2\)を無視することができます。
これを利用して、①式を簡略化します。

\(\displaystyle T=\frac{sV^2}{r’_2ω_s}\) …②

②式から、トルク\(T\)は、電源電圧\(V\)と同期角速度\(ω_s\)が一定としたとき、すべり\(s\)とトルクが比例することを表す式になります。

 

\(\fbox{(ア)}\)の選択肢には同期角速度\(ω_s\)は無いので、もう少し展開していきます。
同期速度\(N_s\)は、電源周波数\(f[Hz]\)と極数\(p\)を使って表すと、
\(N_s=\frac{120f}{p}\)

そのため、同期角速度\(ω_s\)は、
\(ω_s=2πf\frac{N_s}{60}=\frac{4πf}{p}\)
であり、電源周波数\(f\)によって決まる値です。

以上より、トルク-回転速度曲線は、電源電圧及び \(\fbox{(ア)}=\)電源周波数\(f\) が一定のとき、発生するトルクと回転速度との関係を表したものです。

 


\(\fbox{(イ)}\)

トルク-回転速度曲線は、
 ・横軸:すべり\(s\)
 ・縦軸:トルク\(T\)
で表される曲線です。
この曲線中の最大トルクを\(\fbox{(イ)}=\)停動トルクと呼びます。

停動トルクを上回る過負荷がかかったとき、負荷に対して電動機の回転力が不足します。
そのため、誘導電動機は最終的に動作を停止(停動)してしまいます。そのことから、停動トルクと呼ばれます。

停動トルクは、 \(\fbox{(ウ)}=\) 二次回路の抵抗には無関係です。
二次回路の抵抗に無関係であることを示す計算は少し複雑なので省略します。(導出の参考

 


\(\fbox{(ウ)}\)・\(\fbox{(エ)}\)

\(\fbox{(ア)}\) の設問で示した②式から、 トルクは \(\fbox{(ウ)}=\) 二次回路の抵抗\(r’_2\) と滑り\(s\) の比\(\frac{r’_2}{s}\) に関係します。

\(\displaystyle T=\frac{sV^2}{r’_2ω_s}\) …②

②式中の
 ・二次抵抗\(r’_2\)のときのすべりを\(s_1\) …③
 ・二次抵抗\(r’_2\)が、\(k\)倍になったときのすべりを\(s_2\) …④

②式に、③・④の条件を代入します。

\(\displaystyle T=\frac{s_1V^2}{r’_2ω_s}=\frac{s_2V^2}{kr’_2ω_s}\)

⇔ \(s_2=ks_1\)

となり、前と同じトルクが前の滑りの \(k\) 倍の点で起こることがわかりました。
この現象を\(\fbox{(エ)}=\)比例推移 と呼びます。

 

出典元

一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和6年度下期 第三種電気主任技術者試験 機械科目問題問3

参考書

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