【電験三種:機械】令和7年度上期 問4

電験三種令和7年度上期機械問4 令和7年度上期

概要

令和26年問4から数値を少し変更した程度の類題です。

誘導電動機の速度制御法の一つに一次周波数制御法があります。
一次周波数制御法の一つとして\(\frac{V}{f}\)制御があります。
本問は、\(\frac{V}{f}\)制御に関する計算問題です。

\(\frac{V}{f}\)制御法にはVVVFインバータが使われます。

キーワード
誘導電動機、\(\frac{V}{f}\)制御、一次周波数制御法

 

問題

出力が大きい定格運転条件では、誘導機の等価回路の電流は、「二次電流≫励磁電流」であるから、励磁回路を省略しても特性をほぼ表現できる。
さらに、「二次抵抗による電圧降下≫その他の電圧降下」となるので、一次抵抗と漏れリアクタン
スを省略しても、おおよその特性を検討できる。
このような電動機でトルク一定負荷の場合に、電流\(80 A\) の定格運転から電源電圧と周波数を共に\(5\)%下げて回転速度を少し下げた。

このときの電動機の電流の値\([A]\)として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 72    (2) 76    (3) 80    (4) 84    (5) 88

 

答え

(3)

 

解説テキスト リンク

 

回答解説

回答の流れ
(1) L形等価回路を描き、問題文の条件を当てはめる
(2) 二次電流の大きさ\(I_2\)を求める
(3) 二次入力\(P_2\)を求める
(4) 同期角速度\(ω_s\)を求める
(5) トルク\(T\)の式を求める
(6) トルク\(T\)の式に、変化させる前後の電源電圧・周波数を代入して電流を求める

 

(1) L形等価回路を描き、問題文の条件を当てはめる

図1

図2

図1は、問題文の条件によって回路を簡略化する前のL形等価回路です。

問題文の2つの条件をあてはめると、図2のように簡略化できます。
・「二次電流≫励磁電流」であるから、励磁回路を省略しても特性をほぼ表現できる。
・「二次抵抗による電圧降下≫その他の電圧降下」となるので、一次抵抗と漏れリアクタン
スを省略しても、おおよその特性を検討できる。

 


(2) 二次電流の大きさ\(I’_2\)を求める

回路図にオームの法則を使って二次電流\(I_2\)を求めます。
線間電圧を\(V[V]\)としたとき、相電圧は\(\frac{V}{\sqrt{3}}\)ですので、
\(\displaystyle I_2=\frac{\frac{V}{\sqrt{3}}}{r’_2+\frac{1-s}{s}r’_2}=\frac{\frac{V}{\sqrt{3}}}{\frac{r’_2}{s}}=\frac{sV}{\sqrt{3}r’_2}\) …①
 


(3) 二次入力\(P_2\)を求める

二次入力\(P_2\)は、
\(\displaystyle P_2=3I^2_2 \frac{r’_2}{s}=3 \left(\frac{sV}{\sqrt{3}r’_2} \right)^2 \frac{r’_2}{s}=\frac{s}{r’_2}V^2\) …②
 


(4) 同期角速度\(ω_s\)を求める

同期速度\(N_s[min^{-1}]\)は、
\(\displaystyle N_s=\frac{120f}{p}\) …③

同期角速度\(ω_s[rad/s]\)は、③式から、次のように求まります。
\(\displaystyle ω_s=2π\frac{N_s}{60}=\frac{4πf}{p}\) …④


(5) トルク\(T\)の式を求める

機械的出力を\(P_m[W]\)、軸の回転角速度\(ω[rad/s]\)、トルク\(T[Nm]\)の関係は、

\(P_m=Tω\)

⇔ \(\displaystyle T=\frac{P_m}{ω}=\frac{(1-s)P_2}{(1-s)ω_s}=\frac{P_2}{ω_s}\) …⑤

です。(補足1補足2を使っています。)

⑤式に②・④式を代入します。
\(\displaystyle T=\frac{P_2}{ω_s}=\frac{\frac{s}{r’_2}V^2}{\frac{4πf}{p}}\)

⇔ \(\displaystyle T=\frac{psV^2}{4πfr’_2}\) …⑥

⑥式のままでは、電源電圧\(E[V]\)と周波数\(f[Hz]\)が変化したときの二次電流\(I_2[A]\)がわからないので、少し変形します。
\(\displaystyle T=\frac{\sqrt{3}pV}{4πf}・\frac{sV}{\sqrt{3}r’_2}=\frac{\sqrt{3}pV}{4πf}I_2\) …⑦


(6) トルク\(T\)の式に、変化させる前後の電源電圧・周波数を代入して電流を求める

電源電圧\(V[V]\)と周波数\(f[Hz]\)を共に5%下げたときの二次電流を\(I’_2[A]\)として、⑦式に代入します。

\(T=\frac{\sqrt{3}p(0.95V)}{4π(0.95f)}I’_2=\frac{\sqrt{3}pV}{4πf}I’_2\) …⑧

トルク\(T[Nm]\)が一定であるという条件なので、⑦式=⑧式です。

\(\frac{\sqrt{3}pV}{4πf}I_2=\frac{\sqrt{3}pV}{4πf}I’_2\)

⇔\(I_2=I’_2\)

以上より、電源電圧・周波数を変化させた後の二次電流\(I’_2[A]\)は、変化させる前と同じなので、
\(I’_2=80[A]\)です。

したがって、(3)\(80\)が答えです。

 

補足1

二次入力\(P_2[W]\)と、機械的出力を\(P_m[W]\)の関係は、
\(P_2:P_{c2}:P_m=1:s:(1-s)\)の関係から、
\(P_2=(1-s)P_m\)
です。

 

補足2

回転角速度\(ω[rad/s]\)と、同期角速度\(ω_s[rad/s]\)の関係を求めます。

回転速度\(N[min^{-1}]\)を、すべり\(s\)と同期速度\(N_s[min^{-1}]\)を使って表すと、
\(N=(1-s)N_s\)
です。

回転角速度\(ω[rad/s]\)は、\(ω=2π\frac{N}{60}\)
同期角速度\(ω_s[rad/s]\)は、\(ω_s=2π\frac{N_s}{60}\)
なので、
\(ω=(1-s)ω_s\)
と、置き換えることが出来ます。

 

出典元

一般財団法人電気技術者試験センター (https://www.shiken.or.jp/index.html)
令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験 機械科目問題問4

参考書

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