概要
誘導機の回転子が1分間に回る回数を、回転数\(N[min^{-1}]\)と呼びます。
そして、回転数\(N\)は、必ず同期速度\(N_s[min^{-1}]\)と、すべり\(s\)の2つの要素によって決まります。
この二要素をまとめて解説すると長くなるので、本頁では、同期速度\(N_s\)について説明していきます。
同期速度\(N_s\)
同期速度\(N_s[min^{-1}]\)とは、固定子が発生する回転磁界の1分あたりの回転回数のことです。
誘導機は、同期速度に近い速度で回転するので、誘導機の回転数\(N[min^{-1}]\)を決める上で、同期速度はとても重要です。
同期速度\(N_s[min^{-1}]\)は、三相交流の周波数\(f[Hz]\)と、磁極の極数\(p\)によって決まり、次の式で表されます。
\(\displaystyle N_s=\frac{120f}{p}[min^{-1}]\)
同期速度Nsと極数p
極数pとは
誘導機の極数\(p\)とは、固定子に作られる磁極の数です。
N極・S極のそれぞれを1極ずつ数えるので、N極・S極をペアにすると、2極となります。
N極・S極は必ずペアで存在するので、最も磁極数\(p\)が少ない電動機は2極機です。
極数が増えるときも、N極・S極の2極ずつペアで増えていくため、2・4・6・8…と、極数を増やして行きます。
回転速度は、極数\(p\)が少ないほど速くなり、多いほど遅くなります。
トルクは、極数\(p\)が少ないほど小さくなり、多いほど大きくなります。
電流の1サイクルと、p極の回転磁界

電源から固定子に供給される三相交流の電流波形です。
次に、磁極数が2と、4のときの回転磁界が1サイクルで、どれくらい回転するかについて考えていきます。
下の絵は、三相誘導機の固定子の配置を表す絵です。
そして、その絵の周囲を囲う赤い矢印は、電流が1サイクルしたときに、回転磁界がどこまで回転するかを図示したものです。

2極機
1サイクルで回転磁界が1回転します。

4極機
1サイクルで回転磁界が半回転します。
2サイクルで回転磁界が1回転します。
6極機であれば、3サイクルで回転磁界が1回転。
8極機であれば、4サイクルで回転磁界が1回転します。
このことから、次のことがわかります。
電流が1サイクル変化すると、固定子が作り出す回転磁界は\(\displaystyle \frac{2}{p}\)回転します。
同期速度\(N_s[min^{-1}]\)の式の導出
周波数\(f[Hz]\)の交流電源を誘導電動機に接続すると、1秒間に\(f\)回のサイクルを繰り返します。前述のとおり、1サイクルで\(\frac{2}{p}\)回転します。
同期速度\(N_s[min^{-1}]\)は、1分(60秒)あたりの回転磁界の回転数のことであることから、次のように求まります。
重要
\(\displaystyle N_s=\frac{2f}{p}×60=\frac{120f}{p}[min^{-1}]\)
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